進路指導とは何か
遥か半世紀以上前、確か大宮の氷川神社の近くで新任式があった。当時は団塊ジュニア
世代で雨後の筍のように高校が新設されていた。
当時高校教員として採用されたのはうろ覚えだが280人くらいいたと思う。
その新任式でふと頭に浮かんだこと。
「10年くらいかかるかもしれないが、何かで1番になろう。」
高校の場合大体3つの分野がある。教科指導を頑張って生徒の進学実績を上げる。部活で甲子園
やインターハイを目指す。生徒指導をやる。
結局私は生徒指導を選んだ。(生徒が次々に問題を起こし、振り回された結果)
当時の生徒に言われた言葉。
「先生は何も知らなかった。俺たちがみんな教えてやったから先生は一人前になった」
その通り。その生徒は結局市の職員になった。
10年足らずで自殺を除いておそらくすべてのことを経験したと思う。
結局私のしたことをすべて調査し評価してくれたのは浦和家庭裁判所の調査官だった。
「あなた、ここの職員になりませんか。うちの所長は力のある人だからあなたがいいと言ったら
僕これから所長のところに行ってきます。」
「虎に翼」を見ていてちょうど三淵さんが所長をしていた時期と重なるか、わずかにずれるか。
即座に「あの学校に私がいなくなったら、生徒がかわいそうなので残ります。」
生徒指導と進路指導は実は同じことなのです。
どちらも「あなたはこれからどうしたいの?何をやって飯を食っていくつもりなの?」
普段は何もしないでボーとしている。何かあったら出ていきますが、基本本人に任せる。
受験勉強というのは自分自身との格闘で、そのことによって自分自身が見えてくる。
アメーバのようにまとまりのない自我に一本芯が通ってくる。
人間に背骨を通すようなものだと思っています。
18歳で人格的なものは完成します。そこでうまく社会への橋渡しができないと難しい。
どういう進路を選ぼうとちゃんと社会に適合させるのが進路指導だと思います。
私はよく「就職に有利」とか言いますが、本来そんなことはどうでもいい。
偏差値とかまして大学のブランドとか関係ない。
自分が何をしたいか、そのためには今何をしなければならないか、それをやらせるかです。