吉野よく見よよき人よく見つ
吉野山の桜はしろやまざくら。
深紅にやや茶色が混じったような葉が先に出て、その陰に白い小さな花が咲きます。
染井吉野に比べると清楚で高貴に思えます。
薄紅に葉はいち早く萌えいでて咲かむとすなり山桜花 若山牧水
吉野では金峯山寺をパスして吉水神社に向かいました。
壬申の乱で大海人皇子が妃の鵜野讃良皇女とともに立てこもったところ。
よき人のよしとよく見てよしと言ひし吉野よく見よよき人よく見つ 天武天皇
吉水神社は後醍醐天皇が南朝を開いたところ。後醍醐天皇の御座所とか自筆の文書がそのまま
残っています。
さらに鎌倉時代の義経の馬の鞍や鐙、弁慶の籠手や七つ道具、静御前の能衣装二重ねなどがそのまま
展示されています。
秀吉や筒井順慶の自筆の文書、秀長の花押。狩野探幽や山雪の屏風など手に届くほどの近さに展示されて
います。
ここでは歴史がそのまま事実として息ついているのだと思いました。
下千本中千本は満開、上千本は七分から八分咲きといったところでした。
吉野の桜を言葉で表現するのは難しいと思います。
うらうらと照れる光にけぶりあひてさきしずもれる山桜花 若山牧水
言葉を磨かなければと切に思いました。